CUCINA ITALIANA SYMPOSIUM 日本語版

イタリアに住んでみて
美味しいものに出会ったとき、人はこんなにも幸せになれる。
そんなことを漠然と考えていたときがあります。
そこが今の私のスタート地点だった気がします。
 高校を卒業し一つの決心をした。自分に合った料理を探しに行こう。
バックパックを背負って、アジアとヨーロッパを周りました。細かい経緯はさておき、その旅で出会ったのがイタリアでした。料理自体の美味しさもさることながら、肌で感じたのは、<この国の人たちはなんておいしそうに食事をするのだろう。>ということでした。食事という行為そのものを心から楽しんでいるように感じました。
 とにかくイタリアで働いてみよう、フィレンツェで一つのレストランが無給ならいいと言って協力してくれました。日本に帰りビザを申請しました。そこで受け取ったビザの名目がアーティスト。イタリアではコックはアーティストだったのです。料理人は尊敬のまなざしで見られます。一回の食事を無駄にせず美味しいものを探求していく姿勢はただの食いしん坊とは決して呼べません。実際厨房で賄いの料理を作る時でも、そのソースならこのパスタがいいとか、いやこっちのほうが合うとか言い合いになることもしょっちゅうです。自己主張が強いのもありますが、美味しいものを食べることへのこだわりが強く、食べることに対してみんなが真剣です。
 料理人としての立場がイタリアではアーティスト(芸術家)であり、日本では職人、日本とイタリアでは違いました。
 徐々にイタリア語も理解し休みのたびに遠くに行ったりして色々な物を食べて気付いていきました、その地域ごとの特徴に。地域ごとの食習慣の違いや、名物料理の数々。小さな町でもこの町ではこんなやり方でこの料理を作るのが特徴なのよ、と教えてもらう事が多々あります。日本では家の味付けとなりますが。お話し好きのイタリア人たちは、しょっちゅう料理の話をしています、おそらくその結果、個人差はあるものの地域ごとに似たような料理が形成されていったのでしょう。そう、イタリアでいろんな地域を周りその土地ごとの料理を食べるのは一つの大きな楽しみでした。私自身食いしん坊なので、旅イコール美味しいものについつい心を惹かれます。
 徐々にイタリアの気質がわかってくると、どんな町でも、まずはバール(イタリア風の気軽なカフェ)に入り、何か飲みながらその地域のおすすめ料理屋を聞き行くことにしていました。そして店でもおすすめを聞きそれを頼むようにしていました。自分がこの職業をやっているのでよくわかるのですが、お客の好みに合わせて色々な幅の料理を提供できるようにしていますが、できればこれを食べて欲しいという料理がシーズンごとにあります。人には好みもあるので一概には言えませんが、店のおすすめ料理は食べてみたほうがいいなと思っています。
自分の好みではなく時には人の好みに合わせると時に素敵な出会いに恵まれることも多いものです、そんなことも店に食べに行く時の醍醐味ではないでしょうか。
シンポジウムという店名
<饗宴という意味のシンポジウム。>
 最初に考えていたのが日本人に馴染みやすいラテン語の言葉という事だけでした。レストランでシンポジウムというのも珍しいと思います。そもそも、古代ローマのシンポジウムでは、人が集まり食事をし、ワインを飲みながら詩を作ったり、音楽を演奏させたり、時には政治的な話をしたりする有識者の集まりでした。そしてそこに文化交流という背景が生まれたのです。
 当店では、イタリアな雰囲気で、イタリア本来の味わいを味わっていただくと共にイタリア食文化を経験してもらいたいという思いを込めてクチーナ イタリアーナ シンポジウム(イタリア料理 シンポジウム)としました。命名してもらったのは、マルケ州に住む私の親友でありイタリアでの母親的な存在でありまた尊敬するプロのクリエイティブな料理人であるドナテッラの娘、ジュディッタに付けてもらいました。
コンセプト
 美味しいイタリアンが食べたい。そんなシンプルな願いに応えるべく、高品質な料理を少しでも手軽に食べていただけるように努力しています。また、イタリアでの長い経験から、当店で提供されるものからイタリアの長き伝統を感じていただきたいと思っています、味や香りだけではなく地域性や文化的背景まで含めてイタリアを共に楽しみたいと思っています。ただ、あくまでイタリアなので陽気ににぎやかに。
 当店でしか食べられないものを多数ご用意しております。<旬>を織り込みながら、徐々にですが、富山とイタリアンの融合を図っていきたいとも考えています、富山にいるからこそできるこのイタリアン。イタリアンだからこそ地域性を打ち出していきます。
 また、食の安全にも配慮し、生産者や生産地が見えやすいものを積極的に使用しています。当たり前を当たり前に提供していきます。
イタリア料理
 よく言われているのが、イタリア料理は存在しない、あるのは地方料理の集合体だ。という事ですが、イタリアを知れば知るほどその言葉の正当性を認識しつつもイタリア人的気質でつい、そんなに堅苦しく考えなくとも、、、、とも思います。やはり重要なのは季節とその土地でとれるものを大事にした<旬>をベースに美味しいと思われるように工夫しながら料理していくことでしょう。ただ旬や地域というベースから外れると厚みがなくなり薄っぺらな料理になってしまいがちです。今や世界中の物が瞬時に手に入る世の中、イタリアでも世界中の食材を使って創作的な料理も数多く行われており、時に非常に刺激的で感銘を受けることもありますが、その土地に根差した伝統的な料理がいまだに広く愛されているのも事実です。そして昔の人たちがある物の中でいかに美味しいものを作るかと、頭を悩ませた末に少しずつ改良されできた伝統料理の工夫には脱帽です。イタリアの食いしん坊たちに乾杯(完敗?)。
経歴
 高校卒業後、資金をためながらリュック一つでアジアからヨーロッパを食べ歩きながら、地域や文化の違いを肌で感じる。
 トスカーナ州 フィレンツェ  <リストランテ ジッリオ ロッソ>にて調理の修業を始める。
その後、料理人として採用され、計5年間を過ごす。トスカーナの伝統料理、主に肉料理の煮込みやグリルを学ぶ。
 マルケ州 ウルバニア<オステリア デル クッコ>にて地方料理や素材自身の大切さを学ぶ。土地の物を使い季節を感じながらの料理。親戚知人が色々な作物や家畜を栽培又は、飼っていて、生産者の顔が見える素晴らしい環境で郷土料理の大切さを実感。2年半を過ごす。
 サルデーニャ島  カリアリ<リストランテ ルイージ ポマータ>にて先進的な地方料理を学ぶ。あくまでも地方料理をベースにしながらも、様々なアイディアで独創的なものに仕上げていく、またシェフが大きなイベントやテレビなどにも多数出演していたためそのアシスタントも数多く務める。日本ではまだ珍しいサルデーニャ料理や生産者達との出会い。2年半を過ごす。